スマホゲーム「takt op. 運命は真紅き旋律の街を(タクトオーパス)」が本日2/8に公式から「サービス終了のお知らせ」の発表がありました。
2023年6月28日に正式リリースされたものの、2024年4月9日にサービス終了することになり、1年持たず(9ヶ月と少しでサ終)でした。
これについて、アプリの開発の難しさを考えてみます。
なお、自分はサービス開始から知っていましたがプレイはしていません。
<公式発表>
【重要なお知らせ】
— 【公式】takt op.(タクトオーパス) (@takt_op) 2024年2月8日
『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』は2024年4月9日(火)13:00をもちまして、サービスを終了させていただくこととなりました。
詳細は以下運営レターをご確認ください。
▼運営レターhttps://t.co/ViCRdzHUCI#takt_op #タクトオーパス pic.twitter.com/2PSiEKQSyz
【追記・修正履歴】
2024/2/9:アプリの評価・採点を追記
2021年のアニメがそもそもの始まり
このアプリはもともとアニメが発端となって開発されたものです。
アニメ自体は「2021年10月5日」から放送され、12月で終了と約2ヶ月くらいのアニメでした。
そしてアプリが開発されたのですが、そのリリース日は「2023年6月28日」と実に2年半以上の差があります。
この期間の差が不振の決定的な原因の1つではなかったのでしょうか。
過去にアニメ化と同時にアプリをリリースした「マジデス壊 魔法少女マジカルデストロイヤーズ」というアプリもありましたが、こちらはわずか4ヶ月でサービス終了と爆速の終了を遂げました。
なお、このアニメ自体も「OPは良い。だけど内容はダメ。OPに全力振りした結果ダメなアニメ」と酷評されました。
なんとかアニメ終了まで持たせたものの、早期に終了は決まっていたと思われます。
アプリの開発自体は単純なものでなければ、数ヶ月でできるものではなく数年単位がかかります。
おそらくですが、アニメがそこそこ好評だった結果を受けて開発を始めたのではないでしょうか。
結果として2年半以上かかりリリースされたのでしょう。
アニメ化が決まった時点でアプリを開発する選択肢もあったとは思いますが(上記のマジデス壊のように)、これは完全に「賭け」ですので(アニメが不評の場合、アプリも開発費すら回収できずに終わる可能性があるため)、アニメの好評を受けて開発が決定したと想定されます。
どんなゲーム?
「運命」や「コゼット」といったクラシック音楽のキャラが「ムジカート」としてキャラ実装されています。
それぞれのキャラに専用の音楽もあります。
これがこのゲームの大きな魅力点と言えるでしょう。
これらのキャラを元に敵を倒していくゲームです。
よくあるキャラ編成→敵討伐のゲームです。
ちなみに、主人公は「朝雛タクト」という男性キャラなのですが、ボイスもないので正直言って空気です。
評価点
さて、アプリの評価点をまとめてみます。
概ねストアでの好評な点を書いていきます。
音楽が良い
まずは、クラシックをアレンジしたピアノ演奏が好評という意見が多かったです。
ピアノアレンジした担当の人はネット動画等で昔から有名な方です(自分はずっと前から知っています)。
キャラのLive2Dが良い
キャラも高評価を得ています。
やはりキャラ画像が良くないと好評価は得られないので当然と言えば当然ですね。
様々なキャラが登場している
これも当然と言えば当然ですね。
あまり1つのキャラの衣装替えだけで水増しするようなアプリではこのような評価は得られないでしょう。
不評点
次は不評とされている点を挙げます。
音楽が肌に合わない
高評価を得ていた点と全く逆の評価もあります。
クラシックの曲なのになぜピアノだけ?
しかもその独自アレンジが変だ。
もっとクラシックに対して尊重するべき。
などといった意見は1つや2つではありません。
なるほど、確かにクラシックと言えば脈々と長い歴史があるもの。
元々の曲に思い入れがある人ほど、ピアノアレンジされたものを受け付けないというのも納得はできます。
これはアプリで致命的なマイナス点になる人もいたことでしょう。
日課が重い
いわゆるデイリークエストですね。
これが面倒という意見も見られました。
ただ、これはプラスにもマイナスにもなる要素です。
5分や10分で終わって「やることなさすぎ」という人もいれば、「サクッと終わって気楽」という人もいますからね。
UIが煩雑
これは多くの人にとって致命的なマイナス要素です。
色々要素があるからこそUIの使い勝手の良さは重要要素です。
このアプリでは、結構UIに対して不満を持っている人が多く見られました。
UIとは少し違いますが、すごろく要素が鬱陶しいという意見は多かったです。
限定キャラの連発
初期数ヶ月の話ですが、全てのガチャで限定キャラを連発していました。
後半では復刻になったのですが、最初期では限定キャラばっかりだったので「課金圧が酷い」とも言われました。
限定ガチャ連発は悪手と言わざるを得ません。
改悪アップデート
最後に致命的になったのがこれですね。
11月のアップデートでシステムに大幅修正が入り、「今まで勝てていたステージがクリアできなくなった」という人が出ました。
これは非常に大問題ですね。
キャラ仕様、バトルシステム仕様、ステータス仕様の変更はかなり難しい問題です。
長く続いているアプリほどこの仕様変更はインフレを抑えるためによくあるのですが、それに失敗して急激な人離れを招いたアプリは多々あります。
例えばVespaの「キングスレイド」ですね。
2022年7月と10月の2つのアップデートで急激に引退者を出しました(仕様変更の致命的なミスは後者10月のアップデートです。ステータスのデノミが大きな原因です)。
番外編
実はこのアプリ、海外(中国)にもありました。
日本より数ヶ月後にリリースしたのですが、日本では限定キャラだったものが、あちらでは「無償配布」だったようです。
完全に別アプリだったので、日本アプリには影響はなかったものの、さすがに心象は良くありませんでした。
推定売上から見るアプリの様子
game-iさんのサイトを参考にしました。
推定売上
2023年6月:約2779万円(初動。28日リリースのため計測日数は実質3日程度)
2023年7月:約3.57億円(TOP200位圏外期間あり)
2023年8月:約1.2億円(TOP200位圏外期間あり)
2023年9月:約6574万円(TOP200位圏外期間あり)
2023年10月:約2737万円(TOP200位圏外期間あり)
2023年11月:約674万円(TOP200位圏外期間あり)
2023年12月:約4041万円(TOP200位圏外期間あり)
2024年1月:約1764円(TOP200位圏外期間あり)
考察
はっきり言ってやはり3ヶ月の壁に阻まれました。
実質初動の7月の時点でTOP200位圏外まで落ちたことから、最初からユーザー受けはあまりよろしくなかったと推測できます。
以前の評論記事でも書きましたが、まずは3ヶ月の間好調を維持できるかどうか、次は6ヶ月間維持できるかどうかでほぼアプリの将来性(=損益にも直結)が決まります。
(広告作戦がはまって売上が半年後から伸びるなど一部例外のアプリもあり)
今回は6月はリリース月の途中だったので除外して考えると、
初月:3.57億円
3ヶ月目:6574万円(対初月:約1/6)
6ヶ月目:4041万円(対初月:約1/9)
となっています。
特に11月の売上が約674万円と酷いことになっています。
12月と1月は年末年始でどのアプリも売上を上げることが多いので、実際には5ヶ月目にして完全に赤字だったことでしょう。
それと同時に考えられるのが、初動も芳しくなく、3ヶ月目にして初動の1/6で1億円を割っているので、この時点でもはや内内では進退を決めていたことも推測できます。
アプリの評価・採点
未プレイながら採点評価するなら「★2.9」です。
クラシックを舞台、ピアノアレンジという試みは面白いと感じました。
一方で、追加キャラが全て限定(後に撤回され12月には復刻ガチャが実装)、UIのとっかかりにくさ、面倒な要素がマイナス要素です。
仮に、アニメ化と同時リリースであったとしても肝心のゲーム性やガチャ要素がダメなら長続きしなかったと予想します。
まとめ
クラシックを世界観にする、クラシック音楽をアレンジしたキャラやBGMという面白い試みではありました。
ただし、アニメ放映期間と大きく差が開いたこと、クラシックは好みを大きく分けること、ゲームバランスやUIなどのアプリの開発の難しさでうまくいけなかったことが伺えます。
そして、初めに書くべきことだったことかもしれませんが、このアプリは「DeNA」と「バンダイナムコ」が携わったアプリです。
どちらも大手ゲーム関連会社ですが、DeNAはここ最近はゲーム関連では芳しくなく(PocochaやIRIAMなど動画配信系アプリが売り上げの中心)、バンダイナムコも「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」や「ONE PIECE バウンティラッシュ」など数個のアプリを除いて売り上げは良くありません。
結果論ですが、タクトオーパスを維持するくらいなら損切りしてリソースを別の物に回すことにしたのでしょう。
惜しむらくはアニメとのメディアミックス作戦が上手くいかなかったことですね。