タイトルに書いた「何でもできるが、何もできない人」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは「幅広く物事をこなせるが、1つの専門分野のことになると他の人(その分野の専門の人)と比べると物事をこなせない」という意味です。
平たく言えば「器用貧乏」、「広く浅い知識を持つ人」ということですね。
まさに自分がそのタイプです。
自分の今のスキルについて
・製図(技能2級持ち)
・実験装置指名作業者(万能試験機、X線CTスキャン装置、形状測定器、コンターマシン、トルク角度測定器、リューター、ボール盤、3次元測定器、光学顕微鏡、ワンショットetc.)
・CATIA、NX両方使用可能
・流体解析ソフト使用可能
図面作成から、試験評価、3Dモデル作成に、構造解析や熱流体解析までできます。
はっきり言って、ここまで使える人は「部門内数百人以上いても自分以外いない」です。
自惚れでも自慢でもなく、事実ですので断言してもいいですね。
むしろ事業所数千人全員に聞いても、自分以外ここまで経験がある人はいないと断言してもいいです。
ただ、1つのことになると到底専門の人にはかないません。
・製図→経歴数十年の人や、JIS規格制定経験者など製図専門家には全くかないません
・指名作業者→実験部門専門の人にはかないません
・CATIA、NX→両方使える分、1つの専門家にはかないません
・Matlab、Simulink→もともとC言語主体のソフトで、情報系出身者でよく扱う人にはかないません
・流体解析ソフト→別の課で専門に使う人が1人いるので、その人にはかないません
つまり、他のプロフェッショナルの人には到底及ばない程度の知識しか持っていません。
業務で使える分の知識しかないというわけです。
プロフェッショナルじゃない=仕事ができないではない
では、そのような方は「仕事ができない人」かというと「断じてそうではありません」。
何故かというと、課長や部長など「管理職」がいい例だからです。
管理職の人は全部の仕事ができないとなれないかというとそうではありません。
管理職の人は全部の仕事がプロフェッショナルだからなれるかというとそうではありません。
管理職は下積みを経て、「ある分野で経営者として必要な視点を持ち、1部門をまとめられるリーダーシップを評価」されてなる人です。
何でもできるからなれるわけではありません。
話を戻しまして、ここで重要なのは「仕事を遂行するにあたり、スムーズに進められるように人を配置、役割を与えること」です。
管理職は方針を決めるだけでなく、人事配置の権限を持ちます。
人に合った適性を見極めて、役割を持たせる権利と義務を負っています。
もし自部門に20人いて「必要な仕事なのに誰もできる人がいない」とその部門は崩壊します。
部門が仕事を遂行するにあたり、必要な業務を遂行できる技術や知識を持つ人は誰かしら最低1人は必要になります。
たとえその仕事を全て遂行できずとも、途中まで進められればまた別の人に任せられます。
そのようなわけで「器用貧乏な人」は必ずどこかの部門で重宝されます。
浅くとも幅広くできるということは、「幅広い分野で仕事ができる可能性を持っている」ということです。
「何もできない人」ならば「どの場所でも使えない=会社にとって不必要な人材」ですからね。
両者で全く意味合いは異なります。
依頼される=頼られている=会社にとって必要な人材
もし「お前、依頼した仕事の途中まではできるけど、最後までこなせないな」と言われても落ち込む必要は全くありません。
(まあ自分は言われると傷つく豆腐メンタルですが)
むしろ「依頼したお前がこなせず頼ってきたくせに、その言葉は最低だな。そんなこと言うなら自分1人だけで仕事やれば?」と思いましょう。
まとめ
会社に採用された以上、「会社にとって利益を持たしてくれるであろう人材」であり、「必要に値する人材」であると自分は考えています。
少なくとも自分が人事担当者であれば、応募者の中から選定する以上、「この人が会社にとって必要であり、有用な人材である」と判別して採用します。
つまり、会社にいる人はすべからく「必要な人材」なのです。
仕事ができる、できないは個人の素質や才能、努力によって差が出るものです。
物凄く仕事ができて、「オールマイティに活躍する人」、「ある1つのことはプロでも、それ以外はからっきしダメな人」、「満遍なくこなせるが、全部やりきることができない人」、「与えられた仕事しかこなせない人」、「ごくごく簡単な仕事しかできない人」と多種多様にいます。
それが会社という組織であり、全員が有能であらゆる分野に対して万能にこなせる人だけで構成された会社なんて世界で1つたりとも存在しません。
どんなに仕事ができて優秀な万能人間であろうと、所詮は人間です。
誰であっても1日は24時間であり、どんなに仕事ができようが人間1人ができることなんて限られて然りです。
それぞれが役割分担をして組織という大きな歯車を回すのです。
偉そうなこと書きましたが、これが事実であり現実です。
過去に「たった1人抜けたからといって会社は崩壊しない。抜けた分を補うのが会社という組織」と以前の課長に言われたことがあります。
つまりは、「自分1人で全ての仕事をこなす必要はない、できなければ誰かに頼り、それでも無理ならどんどん上司に上げていけばいい」というわけです。
仕事を回せるように調整するのが上司(管理職)の役目であり、それができない上司は管理職としてふさわしくありません。
1つのプロフェッショナルになるも、広く浅くできるようになるも組織(会社)と自分と相談してやればいいのです。
役割によって給料は変わりますが、どこでどんな仕事をしていても仕事をしている以上必ず給料はもらえます。
上を目指してより給料をもらいたければより研鑽と努力をしてなれば良し、上を目指さなくとも得意分野だけで生きていくも良しです。
いずれにしても「会社にいて仕事をしている以上、不必要な人材は存在しない」と思ってください。
あなたに仕事が与えられる以上は、多かれ少なかれ誰かの役に立っているのですから。