CADソフトは様々なものがあることは以前の記事で紹介しました。
今回はCADソフトで、2D図面や3Dモデルを作るコツを紹介したいと思います。
使用歴10数年で学んできたコツのまとめです。
まずは「2D図面の書き方」について紹介します。
始めに
まず言いたいことは「図面を書く上で絶対的なルールはない」ということです。
JIS規格やISO規格など様々な規格はありますが、「図面はこうなるように書かないといけない」というルールは存在しません。
公差の入れ方や表面性状、記号の表記方法などは書かれていますが、「必ず三面図全てを書かないといけない」とか「詳細図はこの大きさで書かないといけない」、「対称図は必ず半分だけ書く」など絶対的なガチガチのルールはありません。
その時々に応じて柔軟な書き方が求められます。
2D図面を書く際のコツ
2D図面を書くと言っても、結局作る部品は立体モデルですので、必要な能力は3次元の空間把握能力です。
まず2D図面を書くと言っても2通りのパターンが考えられます。
①多数の部品で構成された製品から1部品を抜き出して、その部品の図面を書く
②単純に部品1つの図面を1から書く
以前の記事で「機械・プラント製図(機械製図CAD作業)」の資格を自分は取ったと書きましたが、これは①のパターンに当てはまります。
おおよそ10個くらいの部品で構成されたものから、一番大きな主要部品の三面図、断面図、詳細図などを書くことになります。
一体どこまでがその部品なのかを判断し、正確に形状と寸法、果ては公差や幾何公差、表面性状まで書く必要があるので高度な空間把握能力が求められます。
まずは正面図から正確に!
当然のことではありますが、正面図がメインであり、これが不正確であると側面図などすべての形状が狂います。
部品を制作するうえで最も重要な外形部分を「正面図」として書きましょう。
側面図は闇雲に書かない!
続いて側面図ですが、こちらも「必要な箇所だけ書く」ようにしましょう。
上面図、右側面図、左側面図、底面図、斜視図などありますが、全部書く必要は全くありません。
見えるところで必要な最小限の図だけ書くようにしましょう。
全部書いていると図面サイズは大きくなるうえに、重複する寸法を入れる原因にもなり、加工する人の立場からすると見ること自体が面倒と受け取られかねません。
後にも書きますが、「受け手(部品製作者)の立場」になって図面を書くようにしましょう。
寸法を入れるときは正面図で外側から入れると楽な場合が多い
続いて寸法の入れ方ですが、まずはメインの正面図から入れていきましょう。
側面図はあくまでメイン正面図のサブのようなものなので、メインとなる正面図から入れるようにしてください。
順番に入れていくことによって、重複する寸法を入れる心配がなくなります。
ここで同時に寸法公差もいれるようにしましょう。
「後からまとめて入れるようにしよう」と考えると、高確率で公差入れ忘れが発生します。
寸法と同時に公差を入れる習慣をつけておくといいでしょう。
最後に幾何公差と表面性状を入力
寸法まで入れたら最後は「幾何公差」と「表面性状」ですね。
幾何公差は位置度、同軸度、平面度、輪郭度など様々あります。
表面性状は加工によって仕上がる面の粗さですね。
これらは部品の機能を満たすうえで非常に重要です。
ただしこれらも闇雲に入れてはいけません。
幾何公差について
幾何公差を指定すると
①その指定されたものを満足するためにツールを変える必要があり。場合によっては高精度な加工機が必要になる
②検査が必要になり、検査費用がかかる
とコストアップの要因になります。
なんでもかんでもガチガチに厳しいものを入れるのではなく、適切な箇所に必要最低限の幾何公差を指定するようにしましょう。
表面性状について
主に、相手側部品と接触する面に入れることが多いです。
密着させて気密性を保つ目的があるのであれば、その個所と相手側部品に厳しい表面性状を指定する必要があります。
逆にどの部品とも接触せず、素材のままでよいのであればその個所にあえて指定する必要はありません。
素材のままでよい旨を指定書きすればよいですね(除去加工必要なしの記号を入れる)。
まとめ
大学時代から部品メーカーに図面を書いて加工依頼をしていたのですが、今思うと酷い図面を書いていたと思います。
三面図も滅茶苦茶、公差も適当、幾何公差や表面性状はほぼ書いていないと加工側からすれば作ることすら困難だったでしょう。
その時は直接赴いて、自分でNC旋盤を動かしたりもしていました。
とにかく重要なのは
・必要最低限の内容で書いているか(やたらと不必要な図や寸法を書いていないか)
・幾何公差は適切に入れているか(指定データムの場所は適切か。指定が厳しすぎないか)
・表面性状は機能を満足するように指定しているか
といったところでしょうか。
図面を書く側は言い方を悪くすれば、「いくらでも厳しい内容で書けます」。
しかし、加工側からすれば
・こんな厳しい数値をどう加工で出せばよいのか?
・この寸法の検査、どうやってやればいいの?(中心軸がずれれば角度など測れない…)
・表面性状はどの範囲で測定すれば良いのか?
などなど、図面で書かれていないところは推測で加工や検査を進めることになります。
当然ですが、図面で書かれていないことは製作上は全て加工側の判断に委ねられます。
後で品質上満足していなくても文句は言えません。
必ず、図面を書く上で「必要上抜けがなく」、「見やすく最低限に」を心がけてください。