本日4月25日は「JR福知山線脱線事故」から19年です。
運転手と乗客を合わせて107名が死亡、562名が傷害を負ったという列車事故でも最悪規模(国鉄からJRへ移行後は最悪=平成以降では最悪)のものとなりました。
本日は奇しくもこの福知山線に乗ったので記録に残しておきます。
<事故発生後の画像>
尼崎~塚口駅間が急カーブ
後述しますが、この区間はかなりの急カーブであることから制限速度(最高速度は70km/h)が定められています。
制限速度を超えると予期しない事故が起きることは容易に想像できると思います。
事故当時と同じ伊丹から尼崎方面に向かうところを注視してみました。
特に尼崎駅に近いところ(現在の慰霊碑がある付近)はかなりの急カーブです。
列車も斜めに傾くほどの曲率なので、速度を出していれば脱線は免れない状況であったと思います。
参考(Wikipediaより)
曲率半径:304m
塚口駅の南約1km、尼崎駅の手前約1.4 m地点、尼崎駅起点上り約1.805km地点
事故発生時は制限速度70km/hに対し、約30km/hも超過する「約116km/h」でカーブを曲がったようです。
脱線事故の要因
未だにこの議論はなされています。
残念ながら、運転手は列車最前列にいたことから事故発生後に亡くなっており、真の真相は不明です。
列車車掌や関係者から当然聞き取り調査もされました。
その結果、JR西日本の運転業務に対する実態も明らかになりました。
原因①:列車の遅れに対する過度な懲罰
まずはこれが最も大きいのではとされています。
今もそうですが、列車の遅れに対して過度に怒る乗客は少なくありません。
当然列車が遅れれば他の列車にも連鎖的に影響を及ぼし、本社などにクレームが入ります。
遅れを正常に戻すために現場は様々な調整を行います(一部運転取りやめなど)。
この遅れに対する損失はかなり大きいようです。
そのため、JR西日本は遅れの原因となった運転士などに過度に𠮟責していたとも言われています(遅れに対しては「日勤教育」を調べればその実態が分かります。いわゆる「晒し者・見せしめ」状態です)。
原因②:競争激化のために安全対策が追いつかなかった
関西はJR西日本以外に
・阪神電鉄
・阪急電鉄
など多くの私鉄が存在します。
当然ですが、JR西日本は国鉄解体に伴い、国の手から離れて「民間会社」になっています。
国の直接保護がない以上は、自らの運営で利益を出さなければいけません。
他の会社と同じです。
過去、自分は就活の時にJR東海やJR西日本などの企業説明会に何度も参加しましたが、未だに「他の私鉄会社よりも鉄道事業の売上比率が高い(=鉄道運賃の利益率占有率が高い)」とされています。
近鉄は鉄道事業の売上比率は「約17~19%(自分が聞いた当時)」に対し、JR東海を除く東日本や西日本は「約50%以上」だったようです。
近鉄は「近鉄不動産」や「旅行関係」など他事業が主流なのに対し、JRは未だ鉄道事業主体から抜け出せていないようです(できる限り比率を下げようと頑張っていると社員から聞きました)。
そのため、あの手この手で鉄道売り上げを増やそうと運行本数を増やしたりするのですが、運行本数を増やす=駅や沿線設備の増強、運転士の増員などといったものに費用をかけすぎて、安全対策手法や費用が疎かになっていたようです。
原因③:過密ダイヤ
JR福知山線(宝塚線)は伊丹、川西池田、宝塚駅など他の電鉄会社と乗り換えできる駅が多いです。
そのため、便利に乗り換えができるようにダイヤを組まれていました。
当然遅れれば乗客からすれば全ての乗り換えが遅れることになります。
事故発生以前から停車駅を増やしていたにもかかわらず、停車時刻はそのままという過密ダイヤが組まれていたのは内内でも問題視されていたようです。
運転士からすれば遅れは大問題という心理は頷けます。
まとめ
列車内でも今年もそうですが、4年前の同じ日も車掌が直接「この事故を胸に抱えながら安全に運転することに努めたいと思います」と尼崎駅付近で放送が流れました。
結果論と言えばそれまでですが、この事故は起こるべくして起こったのだと思います。
たとえこの列車でなくても、様々な内面問題(運転士に対する教育、勤怠問題、ダイヤの問題など)からすれば他の列車で起こっていた可能性は十分に考えられます。
遺族からすればいたたまれない事件ですが、願わくばこのような問題が表に出たことにより、二度と悲惨な事故が繰り返されないことを祈るばかりです。