自分にとって最大級のロマンが「サイバネティックス」です。
科学が身近でない人にとっては「サイバネティックス」という言葉は聞いたことがないと思います。
今回はこの「サイバネティックス」について書きます。
「サイバネティックス」とは?
「サイバネティックス」というのは「通信工学」と「制御工学」を融合させた技術のことを言います。
英語で書くと「cybernetics」です。
1948年にアメリカの数学者である「ノーバート・ウィーナー」という人が、「サイバネティックス」技術について言及しました。
この技術は、人体(生物)と機械における「通信」と「制御」を統一的に扱うという考えでした。
サイバネティックスは知らなくても、「サイボーグ」という言葉を聞いたことは多いと思います。
簡単に言えば「機械人間」ですね。
サイボーグ、アンドロイド、ロボットの違い
この3種は良く混同されますが定義が全く異なります。
「サイボーグ」は人体がベースであり、臓器などを機械に置き換えたものを意味します。
あくまで人間というわけです。
「アンドロイド」は「android」という言葉が表す通り「andro(人間の)」と「ido(模造した)」の合成語です。
つまり、「人間を模したもの」であって、人間ではありません。
「ロボット」はご存じの通り、全て機械部品で構成されたものです。
生物の分類から完全に外れ、アンドロイドよりより無機物で機械的(というより完全に機械)です。
サイバネティックスで何ができる?
もし人間にこの「サイバネティックス」を適用したら何ができるでしょうか?
例えば視覚を通して、身体を自動的に動かしたりできます。
これを応用すれば「超人的な動きや反射」ができます。
これは、目で得た情報を論理的に計算し(通信)、身体を最適な状態になるように動かす(制御)ことでできるものです。
もはやオリンピック競技の世界記録を塗り替えることも可能です。
例えば走り幅跳びなら、この距離ならこれだけの加速が得られ、この点でこの角度で飛び上がれば最高距離を出せると計算できるわけですからね。
飛び上がりも自動的に制御してくれるので、後は身体さえ鍛えていれば技術は不要となるわけです。
実用化すればどうなるか?
現在も通信業者などがこの分野に興味を持っており、研究開発が進められています。
では、この技術が実用化すれば何ができるでしょうか?
上記では運動分野ですが、「医学的な分野」でも期待ができます。
例として、「外科手術」が挙げられますね。
患者の病気の状態を見て、どこを切開し、どこを縫合すればいいかを視覚を通して判断し、最適な手術を施すことが可能です。
その気になれば、「医師免許がない医学の素人であっても誰でも手術ができる」というわけです。
まさに、ブラックジャックのような天才外科医が大量に誕生するわけですね。
他にも交通分野でも「鉄道運転士」とかもサイバネティックス技術があれば誰でもなれますね。
まさに科学技術の最高峰というわけです。
では、デメリットは?
やはりというべきか、言葉は悪いですが所詮は「人の判断によらない機械・情報工学の1つ」です。
故障やエラーが起きれば、滅茶苦茶なことになりかねないです。
上記の医学分野で手術中にエラーが起きれば患者の命を奪いかねないですし、鉄道でも車両が暴走する可能性があります。
機械や情報の分野では避けては通れない物理的な故障やエラーは絶対に付きまといます。
自動車の自動化と同じく、問題が起きたときは「問題を起こした人」または「そのものを作った製造者」どちらに責任があるかでもめることになります。
その点では「完全100%依存のサイバネティックス技術は非常に難しい」と思われます。
他にも、「目で見たものから情報を判断し身体を動かす」という意味では「勉強が不要」になります。
理由は「数学で言えば、方程式を見たら勝手に脳が計算をして答えを書く」からです。
もはやテストは誰でも100点ですし、誰でも東大やマサチューセッツ工科大学に満点合格できるわけです。
入試の意味がなくなりますね…
まとめ
サイバネティックスの技術は快苦名であることは間違いありません。
何十年後になるか分かりませんが、サイバネティックスが当たり前になる世の中が来るのは間違いないと自分は思っています。
しかし、その時に人間がどうなっているかが問題です。
科学に頼るわけですので、人が考えることを放棄し衰退するのでは?と自分は危惧しています。
いつか小説などで読みましたが、「全て機械が日常生活の動作を勝手にやってくれるおかげで、人はただ無造作に怠惰な時間を過ごす」という世界が来るかもしれません。
「人間が世界を動かすのではなく、機械が世界を動かす」という世界。
そんな進歩を通り越して退化腐敗した世界は見たくはありませんね。
一方で、技術者としてはその時人間はどう行動するかを見てみたいという好奇心はありますが。