いきなりですが、皆さんは「跳弾」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
銃好きの方やシューティングゲーム好きの方は聞いたことがあると思います。
跳弾は「ちょうだん」と読みます。
意味は言葉の文字通り、「弾が跳ね返ること」です。
今回はその「跳弾」について書きたいと思います。
そもそもなぜ銃弾は跳ね返る?
まず銃弾が跳ね返るということはあるのでしょうか?
結論から言えば「跳ね返ります」。
だからこそ「跳弾」という言葉が存在します。
銃弾の速度(弾速)は物にもよりますが、非常に速いので貫通すると思いますが、当然ながら銃弾も金属です。
ぶつかる相手が硬ければ、作用反作用の法則の通り、銃弾が跳ね返ることもあるわけです。
なので、跳弾という現象が起きます。
銃弾は複数回も跳ね返ることはある?
これも結論から言えば「あり得ます」。
サッカーボールも1回蹴るだけで、ボールが何度も跳ね返る光景がありますよね。
野球の打球も同じようにあります。
銃弾が速いからと言って、跳ね返りが1回しか起こらないということはありません。
ただし、無限に跳ね返るということはあり得ません。
銃弾といえどもエネルギーは有限です。
跳ね返り衝突を繰り返すたびにエネルギーが損失し、いずれは静止します。
跳弾をコントロールすることは可能?
今回のポイントはこれです。
アニメやゲームでは跳弾を繰り返して目的の対象に命中させるというシーンがあります。
ゴルゴ13の主人公であるデューク東郷や、ルパン三世のルパン、次元大介などが良い例ですね。
では、現実の世界で跳弾をコントロールすることは可能なのでしょうか?
答えは「不可能」です。
理由はいくつかあります。
銃弾が対象にぶつかるたびに形状が変わる
まず1つ目が銃弾そのものの形状の変化です。
跳弾が起こるのは当然ながら対象と衝突した時に「貫通せずに跳ね返る」ことが前提です。
つまり、銃弾よりぶつかる相手が硬い時に起こります。
そうなると相手より柔らかい銃弾は硬い対象とぶつかることで弾頭が欠けるなどの現象が起こります。
加えて、衝突時にエネルギー損失も起きます(上記の通り)。
エネルギー損失はスーパーボールの跳ね返りが良い例ですね。
何度も跳ね返るうちに、跳ね返る高さが低くなっていって、最終的には跳ね返らなくなり止まります。
仮に1回目の跳ね返りがコントロールできたとしても、2回目はその形状変化とエネルギー損失を計算に入れないといけません。
そんな計算をすることは不可能ですね。
まして3回目、4回目と跳ね返りの回数が多ければ多いほど、その跳弾の軌道は予測不可能になります。
風などの外的要因
次いで、単純に銃弾だけの要因だけでなく、風などの外的要因もあります。
常時無風ならともかく、気象は常に変化する可能性があります。
跳弾中に風が吹けば少なからず銃弾の軌道に影響が起きます。
上記のことに加えて、気象要件などの外的要因も考慮してコントロールとなれば、現在の科学技術などでも到底不可能です。
そもそも跳ね返り先で跳ね返る環境であるかの前提条件が難しい
さらにさらに加えると、跳ね返り先で「跳弾が起きるとは限らない」という前提条件もあります。
1回目の衝突対象と、2回目の衝突対象が全く同じ材質、全く同じ形状なんてことは現実的な環境でありません。
跳ね返った先が柔らかい材質なら、銃弾が貫通してそれで終わりです。
意図的に作り出した空間ならまだしも(それでも全く同じ表面性状で空間を作り出すのは加工観点からもほぼ不可能)、現実世界ではそんな空間があるとは思えません。
結論:跳弾コントロールで対象に当てるのはロマン
このことから、銃弾を意図的に繰り返し跳ね返らせて、死角の相手に命中させたりすることは現実では絶対不可能であり、アニメやゲームなどのロマンと言えるわけです。
1回だけに限れば、意図的に作り出した限られた空間かつ試行錯誤の末であれば可能かもしれませんが、4回や5回の跳弾で死角に命中なんてことは不可能ですね。
アニメを見ていると「凄腕の銃の使い手」と感動しますが、現実でそんな銃の名手はいませんね。
銃で早撃ちの名手なら歴史に名を残す人がいますが、跳弾の名手なんて人は存在しません。
でも、何度も銃弾が跳ね返って相手を倒すシーンは感動しますね。